2016年6月12日日曜日

リードスイッチの位置と消費電力の減少

リードスイッチの位置がコイルに電流を流すタイミングや時間を変更する大きなパラメータになる。


リードスイッチをローターから遠ざけると、リレーがONする時間が短くなる。すなわちDuty比が下がる。
逆にリードスイッチをローターに近づけると、リレーがONする時間が長くなる。Duty比は上がり、電流も多く流れることになる。


これとは別に、モーターの中心軸からコイルの中心に伸ばした線を基準にして、
ローターの回転方向側に移動させる。これを遅れ角と呼ぶことにする。

こうすると、コイルに電流が流れるときには、ローターのマグネットがコイル上空を通りすぎて、離れていこうとする状況にある。このときコイルに発生した磁界がマグネットを押し出す力にはなるが、角度を大きくすると、マグネットに力が十分にかからなくなり、電流が無駄になりやすい。
回転速度が遅い起動時には、有効だった。

逆に、基準線よりも回転方向と逆に移動させる。これを進み角と呼ぶことにする。
こうすると、ローター上のマグネットがコイルに近づいてくる段階で、コイルの磁界が発生するため、マグネットとコイルの間の反発力が、ブレーキとなってしまう。もちろんマグネットがコイルの中心を通過したあとは、反発力が回転を加速させる。
回転速度が遅い場合にこの進み角をとると、確実に減速して停止する。
しかし、回転速度が十分に大きくなっていると、ブレーキ効果は瞬間的なものになるため停止することはない。もちろん、角度が大きすぎるのは問題があり、振動が増え停止に至る。

このモーターはリレー式の駆動系となっているので、リレー接点が完全にONとなるまでに数ミリ秒のタイムラグが存在する。このタイムラグを取り除き、モーター全体の効率をよくするためは進み角を少しだけつけるのが有効となる。

以上のポイントを押さえた上で、実験を繰り返した結果、コイルの電流が激減することが分かった。

このオシロスコープの写真は、CH1がコイル電流波形で、CH2がコイルの電圧波形となる。
ここではCH1の電流波形に注目してみる。


電源電圧7Vのときに、電流のピークは550mA程度だとわかる。


次は、電源電圧10Vなので3Vアップしているのだが、電流のピークは550mA程度で上の画像と同じ。しかも、電流波形がとてもスリムになっていることがわかる。

概算で、
上の消費電力は、7[V]*0.55[A]*0.393[%]*0.5=0.756[W]
下の消費電力は、10[V]*0.55[A]*0.2[%]*0.5=0.55[W]
(山の部分をざっと直角三角形として最後に0.5をかけている。波形が異なるので精密に積分すると違いができかもしれないが、誤差の範囲としている。)

電圧が上がっていて、回転数も上がっているのに、30%程度消費電力が減ったのである。
もちろん、7V時の電流波形は無駄が多いのでデューティー比などもう少し改善すればこの差は小さくなるかもしれない。

しかし、実験を繰り返していて分かったのは、電源電圧が7Vを超えて、10V以上にならないと電流が顕著に減らないということである。

また、リミットスイッチの位置をコイルの電流が0近くになるように最適化していくと、回転力がなくなり、空気抵抗や軸受けの抵抗などでどんどん速度が低下してくる。だから、極わずかでも電流が流れるようにしなければならないことも分かった。



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