2021年12月28日火曜日

テスラバッテリースイッチの改良3

 前回の実験で、思ったほどの出力が得られないことが分かった。


電流がどうしても制限されてしまう。この要因は出力トランジスタのゲート駆動が不十分ということも考えられる。

また、以前にも検討したことだが、トランスが大きすぎるため、無駄にエネルギーが消費されてしまい、出力トランジスタにまでエネルギーが回らないのではないかということ。


トランスを小信号用のものに交換してみる。

今回の改良で、いままで使ってきたPICは使わずに、外部のDDSオシレーターから駆動パルスを与えるようにする。PICだと、スイッチ切り替え周波数がプログラムの割り込み処理が入る分、高周波になると正確な周波数にならない問題があったのと、PICのI/O出力電圧が5Vに固定される。一方、DDSオシレーターは最大20Vまで電圧を変更できるので本実験には都合が良い。


サンスイのST-32というトランスを6個使ったとてもシンプルなドライブ回路が出来上がった。



2021年12月25日土曜日

テスラバッテリースイッチの改良後の試験

 改良が終わったので、まずは、60Wのランプを負荷にして動かしてみた。

この画像のように、わずかにランプのフィラメントがオレンジ色になっている。

負荷が重たすぎて電圧が1.04Vに低下している。


適当な重さの負荷がないのも困るので、6Wのランプを追加。

さらに、バッテリー側の電流波形も見てみたいので、配線の途中に挿入できるものを作った。
電流検出用に10mΩ,1Wの抵抗を使った。1A流れると、抵抗の両端に10mVの電圧が発生する。

これらを追加して実験再開。
6ワットのランプだと、負荷としてちょうど良い。出力電圧は8.98Vで0.42A。3.8W程度なので、全力で点灯しているわけではなさそうだ。

この時の切り替え周波数は10kHz。電子スイッチの場合、周波数を上げた方が良いということが何となくこれまでの実験で分かったこと。

わずかに1000uFという小さなバケツに入った電荷。これをできるだけ早く切り替えて放出と充電をする。早く回してあげてエネルギーを少しでも多く送り出し出力を大きくする。そういう理由から10kHzを選んでいる。

30分ほど運転し続けてみたが、出力はほとんど横ばい状態。予想では少しずつ上がっていくものと思ったが、そういう結果にはならなかった。


電流計測用の抵抗は、改造時に追加した集合コンデンサのそばに取り付けた。このコンデンサに流入してくる電流波形がわかる。

オシロスコープで44.8mVp-pあるので、ヒゲパルスも含めると4.48A流れている。しかし、平坦な部分だけをみると5mVで上下しているから0.5A程度。2つのコンデンサが交互に充電と放電を行っているので、2つのコンデンサ分をあわせて直流の0.5A程度が出力として流れて出ている計算となり、負荷側につけた電流計の0.42Aに近い。

こうして波形を見ると、確かに切り替えたタイミングでパルスが生じているが、思ったほどたくさん出ているわけでもなく、大きいわけでもないようだ。

周波数を50Hzから20000Hzまで変化させたときに、出力がどのように変化するかも確認してみた。
50Hzの時は、出力が5.88V, 0.35Aに低下してしまっている。

電流波形は、長く大きなヒゲパルスが下に伸びて出ているのがわかる。46.8mVp-pなので4.68A。しかし、切り替え周期が長いため、頻度が少ないから出力アップには寄与しない。

この後、100Hz、500Hz、1000Hz, 5000Hz, 10000Hz, 20000Hzと変える。
周波数が上がっていくにつれ、出力の電圧・電流は少しずつ上がっていく。
一方で、切り替える際に生じるヒゲパルスはどんどん小さくなっていく。
これは、20kHz時の電流波形。39.2mVp-pだから、3.92A。電流のピークが小さくなっている。

そして、なぜか10kHのあたりがピークとなり、20kHzで少し下がった。
単純に周波数を上げれば良いというものでもないらしい。
周波数が上がっていくにしたがって、切り替え時に生じるヒゲパルスが小さくなっていく傾向があるのが原因なのかもしれない。

切り替え時に生じるパルスは、線路の持つインダクタンス成分や様々な回路パーツが持つ容量性の成分などが作り出しているのだと思う。それらが、高い周波数で駆動されたときに十分なエネルギーの蓄積ができないために出てくるパルスが小さくなり、低い周波数で駆動されているときは、十分蓄えることのできる時間があり、よって大きなパルスが生じるということだろう。それぞれ持っている時定数が異なるので結果がわかりにくくなる。





2021年12月21日火曜日

テスラバッテリースイッチの改良2

 

秋月電子のコンデンサアレーを購入した。これをさらに組み合わせて耐圧を上げる。

4枚を直列につなぎ、25Vの耐圧を100Vにする。
合成容量が154uFになるので、これを5セット並列につなぎ770uFにする。


この770uF, 100Vを2組つくる。

それを2段重ねにする。
さらに、置き場所に困った整流後の平滑コンデンサを上にのせた。


2021年12月20日月曜日

テスラバッテリースイッチの改良1

 

まずは、トランスの一次側と二次側を入れ替える。

二次側にあったバイパス用にダイオードを一次側に移動、二次側にあったコンデンサは撤去した。


以前よりも多少スッキリとした。特にトランスの二次側と出力トランジスタ間のモノが減った。



2021年12月14日火曜日

テスラバッテリースイッチの改造前の確認

 トランスの一次側と二次側を入れ替えたときに、出力がどうなるかを確認した。

ブレッドボード上にトランスとその関係する部分の回路を組み立てる。

DDSオシレーターから12Vの矩形波を与えて、オシロスコープでトランス出力波形を確認する。

周波数が50Hzのとき、22.6Vの鋭い山が出ている。とても矩形波とは呼べない。これではトランジスタのONしている時間はとても短い。ほとんどOFF状態。電圧が22.6VであればトランジスタのVbe限界である60Vを超えないので壊れることはない。

周波数が1kHzのとき、山は小さく6.24V。トランジスタはなんとかDuty比50%でON/OFFできそうだ。

周波数が10kHzになると、ほぼ矩形波として出力できている。電圧も5V以上ある。

これで一応の確認ができたので改造に入る。






2021年12月13日月曜日

テスラバッテリースイッチの再検討

思ったほどの出力が得られなかったので、何が悪かったのか見つけるために改めて資料などを読み直したりした。


どうも、少し勘違いしていた部分があったように思う。

バッテリーの切り替え時に大きなパルスが発生するのだけれど、それをキャッチするためにライン上にコンデンサが入っているのだということ。


それを、この前は不要だろうと外したのだった。外したことで確かにランプが少し点灯するぐらいにまで電流が流れるようになった。しかし、それはバッテリーから出ていくものでバッテリーの残量を単純に減らすもの、つまりフリーエネルギーではない。


それからもう一つ、見つけたことがある。このサイトに書いてあることによれば、出力トランスは、小信号用の小さいアウトプットトランス(Radio Shack#273-1380トランス)を使い、一次側と二次側を通常とは逆に使うことでトランジスタのベース電圧を相当大きく与えて駆動させていたことだった。

それと、6個あるトランスの一次側をすべて直列につないで駆動するというとてもシンプルな構成にしている。


私が作ったものには、サンスイのST-62という3Wの出力が取れるトランスを使った。だが、Radio Shack#273-1380を調べ、それと同等のものがサンスイのST-32(0.2W出力)だと分かった。なんと10倍以上、かなりオーバースペックだった。


また、外したコンデンサの方は、大きなパルスを受け取るには35Vでは耐電圧が小さいことも分かった。100Vぐらいの耐圧がいるらしい。交流電流が流れる部分なので+/ーの極性をもつ電解コンデンサは使えない。無極性の電解コンデンサもあるが、これも実際には交流には使えないものらしい。となると、フィルムコンデンサか、セラミックコンデンサになる。なおかつ1000uFとなるとなかなか入手困難だ。


以上のようなことから、改造する方針が見えてきた。

  1. 出力ライン上に耐圧100V以上で1000uFのコンデンサをつける。
  2. トランスの一次側と二次側を反対にしてトランジスタへの信号を大きくする。
  3. もしも、2でダメだったら、トランスをST-32に交換し、ドライブ用の回路を作り直す。

1.のコンデンサは、秋月電子で22uFの積層セラミックコンデンサを28個使った、616uF、25Vのものが売られていた。これを4個直列につないで耐電圧100Vとする。合成容量は154uFになるので、5セット並列にならべて770uFとする。1000uFには足りないが、実験して確認してみないことには分からない。不足しているなら後から追加すればいい。


2.のトランスの入出力反転は、計算ではこうすることでST-32に交換した場合と同じ効果が得られることが分かっている。実際には、簡単なテストを事前に行う。


2021年12月8日水曜日

テスラバッテリースイッチのテストと改良

 回路の要所要所をオシロスコープでチェックしたところ、PICからの5V出力を12Vにレベル変換しているトランジスタ2SC1815のところで発振していた。

トランジスタのベースに入れた抵抗500kΩが大きすぎて、電流が十分に流れないのが原因のようだったので、510Ωに交換した。

その後、負荷としてケースファン4個をつけて動かしてみた。
スイッチの切り替え周波数が100Hzのときは、ケースファン4個の内、3個だけ回ったが1個は回らない。周波数を800Hzに上げてようやく4個全てが回るようになった。
周波数が上がった分、切り替え時に発生するパルスが増えるのでそれに伴って電流が増えたのだろう。とはいえ、せいぜい1ワット程度。
負荷に60Wランプをつけると、100Hzでは点灯せず。800Hzでようやく少し薄く光る。1600Hzにあげるとようやくランプのフィラメントがオレンジ色になった。テスターで測定した出力電圧は2.3Vで出力電流が2A程度。負荷が重いと電圧が低下する。
バッテリーの電圧も少しずつ下がっていく。

これ以上は意味がないと思い、テストを中断。

出力の電圧と電流を毎回テスターで測定するのも手間なので、LEDメーターを取り付けた。

それから、出力ライン上につけたコンデンサが充分な電流供給を阻害しているかもしれないと思い、ライン上のコンデンサを外してみた。


コンデンサを外したことで、出力が増えた。しかし思ったほどでもなかった。

60Wランプ負荷に対して、切り替え周波数1600Hzにしてやっと出力電圧が3.2V、出力電流が2.93A。せいぜい9W程度。


出力が上がらないようにしている阻害要因は何?



2021年11月30日火曜日

テスラバッテリースイッチ(トランジスタスイッチ版)製作

トランジスタを使ったテスラバッテリースイッチを製作する。

 

厚さ2㎜アルミ板の上に、トランスやトランジスタ、ヒートシンクなどを取り付けているところ。


PICコントローラーを作り、出力波形をチェックしているところ。


前に作った同装置のスイッチ部分を今回作った電子スイッチに入れ替えて、前面にPICコントローラーを取り付けたところ。
木枠や4つあるバッテリーなどは、そのまま流用した。


2021年11月29日月曜日

SlayerExciterのドライブ回路比較

 MOSFETの回路を2つ出来上がった訳だが、両者の違いを比較してみた。

一次コイルの高さは床面から30㎜のところにして、直流電源は20Vとした。


まずは、先に作ったドライブ回路Ⅴの方から。

20Vで1.5A前後。

その時の二次コイルの電流波形(上)と二次コイルから15cm程度離れたところで測定した電圧波形(下)。
電流波形の乱れている部分が、一次コイルに電流が流れて出てきたもの。



そして後から作ったドライブ回路Ⅵは、

電流は2.8A前後。

こちらは電流波形(上)が大きく異なる。大きな長いヒゲが出ているのが分かる。一次コイルに流れている電流がそれだけ大きいのだろう。しかし、2番目のヒゲがとても小さくなり3番目がない。これは、過電流保護回路の影響だろうか?
電圧波形(下)はどちらのドライブ回路も似たような大きさのサイン波となっている。

放電は見た目だけではほとんど両者の差はない。このことは、上のオシロ画面の電圧波形でも大差なかった点と符合する。

もう少し調べたいことがあったのだが、あちこち触っている間に両方のMOSFETがお亡くなりになってしまった。


2021年11月28日日曜日

SlayerExciterⅥの調整その2

前回のテストで、電源電圧を18V以上で動かすのが良いことが分かった。

 そして、今回は一次コイルの高さを二次コイルの下端よりも下からスタートして上に上げていく。その中で最も放電が勢いよくなるところを探す。電源電圧は18Vに固定して行う。


二次コイルの下端は床面から36㎜のところにある。

まずはじめに、一次コイルを床から30㎜のところにセットして動かす。二次コイルの下端から6㎜下のところだ。


消費電流2.5A程度。

次に40㎜に上げる。
この時、消費電流は2.3A程度。

次に50㎜。

この時、消費電流が不安定にゆらゆらと上下した。1.4A~2.2A。

55㎜にしてみたが、消費電流は不安定のままで、1.3A~2.2Aをうろついている。

以上の結果から、床面から30㎜の場所が安定し、上げていくほど動作が不安定になることが分かった。最適な場所は30㎜ということにした。


それから、念のため、一次コイルのプラスとマイナスを入れ替えてみた。

これが逆接続したときの結線状態。(赤くて太いリード線2本)
直流電源の電流は、5.739Aとかなり大きい。しかし、二次コイルの電流波形はフラットのまま動かず、もちろんコイルトップの放電現象もない。
MOSFETがどんどん過熱してヒートシンクが熱くなっていく。

一次コイルの電流方向が逆転すると、全く動作しないことが分かった。








2021年11月27日土曜日

SlayerExciterⅥの調整

 直流安定化電源PAS40-9の出力電圧を12Vから徐々に上げていき、SlayerExciterⅥがどのように動くのかを確認した。



まずは、12Vで運転。1.5A程度流れているが、不安定でフラフラ動く。


二次コイルの先端部に、細くて小さな放電が出ている。

銅線を近づけてアークを出したところ。

電圧を上げていく。18Vぐらいから少し安定感を感じられる。
それまでブレまくってまともに観測できないでいた二次コイルの電流波形がオシロスコープで見れるようになった。(画面の上の波が二次コイルの電流波形)
先端の放電も少し大きくなり、不安定だった音も安定し少し静かになった。

恐らく、このMOSFETのドライブ回路は、18V以上で動かすのが正解のようである。

どんどん電圧を上げていく。

26Vあたりから、また音がうるさくなった。先端の放電が少しつぼみが開きだした花のようになった。


さらに上げていく。
30Vを超えたあたりからまた音が少し静かになった。

32Vの時点で、2.5A前後。電流も安定している。

先端の放電は、花が開いたようになった。


最後に40V。この直流安定化電源の最大電圧。電流は2.5A前後。入力電力は100Wを超えた。

先端の放電はさらに横へと広がろうとして下部から真横に何本かのびてきた。いったん静かになっていた音がまたうるさくなっている。
そして、この先端に使ったテストリードの黒いプラスチック部分が熱で少し溶け始めている。


目標だった出力アップは、70Wを十分にクリアしたのではないかと思う。

このテストは、一次コイルの高さは未調整のまま行った。
この次は、一次コイルの高さ、最適な場所を探してみようと思う。