製作するにあたり、詳細を詰めていこうと思う。
まず、オリジナルはコイルを絶縁油の中に入れているが、製作を簡単にしたいので絶縁油は使わないものにする。その代わり、ワイヤーの耐圧を高くし、電源電圧を低めにする。ワイヤーはUL3239(AWG22, 20kV)という型番で、液晶バックライトなどに使われていた耐圧が20kVのものを使う。だから、2次コイルの出力が最大でも20kVまでとなる。スパーク長であれば20㎜程度となる。まずは、そういうものを作る。
二次コイルの共振周波数は、27.12MHzを目標とする。ISMバンドを利用することで、他の機器への影響がなるべく出ないようにする。この周波数帯は、工業用高周波加熱装置や半導体製造用プラズマ装置に利用されるものだから、問題が生じにくいのではないかと思う。
それから、27.12MHzの波長は11メートルで、この長さのワイヤーであれば手頃な大きさのコイルがつくれそうだと感じた。
テスラの作ったオリジナルコイルを挿絵から解析してみると、
一次コイルは24Turn×4層で、仕上がり外形がΦ80㎜、ホビンはΦ20㎜程度。
二次コイルは10Turn×26層で、仕上がり外形がΦ240㎜、ホビンはΦ80㎜+α、コイル幅は30㎜。(→使用されたワイヤーはΦ3㎜のゴム被覆?)
ワイヤー径が3㎜として、一次コイルのワイヤー長が18.7メートルぐらいで二次コイルは64.5メートルぐらいになる。これらワイヤー長の比率は、64.5÷18.7=3.45倍。整数倍にはなっていないようである。一次側にはコンデンサがついていることや無誘導巻きになっていること、中間にスパークギャップがあるなど複雑すぎる。一般的なアンテナの共振にバリコンを用いて共振周波数を下げるように調整する。また、無誘導巻きにするとリアクタンス成分が減少する。こういうことが結果的に一次コイルの共振周波数を低めに誘導しているのではないかと仮定。であれば、一次コイルの見掛け上のワイヤー長は長くなり上記の比率は2倍ないしは3倍になっていると考えられなくもない。
テスラコイルの場合、二次コイルが支配的であり共振周波数となり、一次コイルは共振周波数にあまり寄与しない。いや、寄与しないというよりも、二次コイルに合うように調整している。
ワイヤー長がそのまま共振周波数とはならないが、参考までに波長λを算出してみる。すると、二次コイル側から299792458[m/s]÷64.5[m]=4.65MHz。
しかしながら、この一次コイルと二次コイルの組み合わせを左右対称に2組利用する。
となると、左右合わせてλとなる可能性が高くなる。つまり二次コイルはλ/2で共振するのではないかと考えられる。であれば、4.65MHzの半分の2.32MHzということになりそうだ。
そして、今回作る予定のコイルは、27.12MHzにしたい。
まずワイヤー長を決めたいが実験してみないと分からない。
オリジナルコイルは、ワイヤー長の比が3.45倍だったが、ここは2倍で進めてみようと思う。
一次コイルをλ/4の2.764メートルとする。二次コイルはその2倍の5.527メートルとする。
今回使用するワイヤーUL3239はΦ2.5㎜。ここからスプレッドシート上で寸法を決めていく。
その結果、一次コイルはコアにVP25水道用塩ビパイプ(外径32㎜、内径25㎜)を使い一層目が12Turn、二層目が11Turn(トータル23Turn)、コイル仕上がり外形42㎜、コイル長さ30㎜。
二次コイルはコアがVU40水道用塩ビパイプ(外径48㎜、内径44㎜)を使い、4Turn×7層(トータル27Turn)、コイル仕上がり外形83㎜、コイル長さ12.5㎜。
巻き数比は1.174倍であり、ほとんど昇圧しないだろうなと思う。油絶縁をつかわないので良しとする。第一目標は共振周波数の確認。