実験の概要
図1.電流OFF時 |
上下2つの磁石を4センチ間を空けて配置する。その隙間の左右にコイルを向かい合わせになるように配置する。
図2.電流ON時 |
次に、コイルにパルス電流を流して強力な磁界を生じさせ、上の磁石N極から下の磁石S極へと直進していた磁束を四方八方へと拡散させる。この結果、中心の上下方向に通る磁束密度を減少させる。
この電流のONとOFFを繰り返すことで、2つの磁石にはさまれた中心部分では、上下方向の磁束密度が上昇・下降を繰り返すことになる。この中心部分に別のコイルを置けば、磁束密度の増減に感応したコイルに電流が流れるはずである。
ひとつ前のブログ記事にも書いたが、コイルの作る磁界は、おそらく磁石のつくる磁界と同じかそれ以上でなければ、上に説明したような現象は起きないだろう。だから今回は、コイルに40Aを流したい。
直径0.6ミリ程度の細い銅線を使っているので、そこに40Aも電流を流すと銅線が熱で溶けてしまう。だから、細いパルス状の信号をコイルに与えることにする。
コイルの選定
コイルは、以前つくったものを流用することにした。
外径38ミリの塩ビパイプ、長さ40ミリに、UEW0.6ミリを120回巻いたもの。
磁石の磁界を拡散させるコイルは2つ必要なので、これと同じものをもうひとつ作る。
これらはEXコイルのAとBという名前をつけておくことにする。
これとは別に、磁石の中心に配置する出力用のコイルが必要だ。これも以前つくったものを流用する。
同じ塩ビパイプにUEW線1.0ミリを24回巻いたもの。
これはPWコイルとする。
【コイルの特性】
EXコイルA
- 直流抵抗:.098[Ω]
- インダクタンス:501[μH]
- 磁束密度:1.5[mT](直流0.8Aを流して、コイル端の断面中心部で測定)
EXコイルB
- 直流抵抗:.098[Ω]
- インダクタンス:530[μH]
- 磁束密度:(未計測)
PWコイル
- 磁束密度:0.2[mT](直流0.8Aを流して、コイル端の断面中心部で測定)
EXコイルA+EXコイルBの組み合わせ時
(コイルを同一軸線上で向かい合わせに置き、40ミリの離隔距離をとる。無誘導巻きに近い形)
- インダクタンス:910[μH]
- 磁束密度:1.0[mT](直流0.8Aを流して、外側、向かいあっていないコイル端の断面中心部で測定)
※EXコイル組み合わせ時は、配置が無誘導巻きコイルに近いため、互いのコイルが発生する磁束がぶつかり合い、弱めあう。そのため、インダクタンスが下がり、磁束密度も低下したと考えられる。)
印加パルスの計算
上記のEXコイル組み合わせ時には、0.8Aで1mTの磁束密度だった。磁束密度を50[mT]まであげるためには、50倍、つまり40A必要となる。直流抵抗が、0.98+0.98=1.96[Ω]になるので、直流だと80[V]の電圧をコイル両端に印加する必要がある。
しかしながら、手持ちの直流電源装置は最大40Vまでしか対応できないので、とりあえず、いけるところまでとしておく。よって電流は半分の20Aとなる。
コイルには1回のパルスで十分なエネルギーを蓄える必要があるので、充電に必要な時間を計算すると、インダクタンスL=910uHと抵抗R=1.96Ωから、1.87[ms]となった。これがパルスのON時間となる。
次にパルスの周期。
コイルにつかったUEWワイヤーの安全電流は0.8[A]。直流の場合の電流と時間の積がパルスを与えたときの電流と時間の積が同じであれば、発熱による断線は起きない。
電流20[A]で約2[ms]流すので、0[A]を何秒にすればいいかを計算すればよい。
すると、パルスの周期が0.0454秒となる。これは周波数22Hzである。
パルスのデューティー比は4%となる。
回路図
コイルにパルスを供給するための回路を作成。
MOS-FETでスイッチング動作させる簡単なものとなった。
コイルで発生する逆起電力からMOS-FETを保護するためにFRDとSBDをつけた。
しかし、手持ちのダイオードが少なかったために、最大電流は9[A]までとなってしまった。
MOS-FETのソースにつけた0.1[Ω]抵抗で電流を測定する。読みとった電圧値を10倍すれば電流が分かる。
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