ヒューレットパッカード社製 ネットワークアナライザE-5100Aを使って調べてみた。
この装置の周波数帯域は10kHz~300MHzまでとなる。
測定対象のヘリカルコイルは、巻き線の長さが一層目と二層目を合わせて205[m]程度。そのワイヤー長さからλ/4となる周波数は380kHz前後。だから頭の中の設計では1MHz以下で利用することを考えている。
よって数MHz以上の特性は、何かの参考になればと思ってとっておくことにした。
1.ワイヤーを1本にした場合
ア)定在波比
コイルはVoltexの電場・磁場を作るためのものと考えているので、まずは上記の2例を接続方法として取り上げてみた。
これは
定在波比の測定だから、ゲインが低いほどコイルで多くの電力が消費されているので良い結果ということになる。ここでは被測定物のコイルはアンテナと見立てていることになる。
赤い矢印の巻き線が一層目であり、矢印の方向、トロイダル対して左回りとなる向きを正としている。11A-Bと12A-Bは同じ束として巻いている。
青い矢印の巻き線が二層目であり、矢印の方向は、上記の赤と同じ正の向きではあるが、ねじれがトロイダルの内側から外に向かうため、赤とは各所でクロスする。21A-Bと22A-Bは同じ束。
回路図(a)は赤と青はどちらもトロイダルについて正の方向となるようにつなぐ。
回路図(b)は赤は(a)と同じ正だが、青は逆向き(トロイダルに右回りの向き)とした。
まずは、(a)のゲインと位相の関係
黄色い線がゲインで、青い線が位相。帯域は10kHz~300MHz。全体に右肩下がりとなっている。
こちらは、帯域5MHz以下について拡大したもの。
次は(b)。
帯域10kHz~300MHzの様子。ほとんど横ばいだが、230MHz付近で山がある。
こちらは帯域10MHz以下の様子。7.5MHzあたりに谷がある。
10kHz~300MHzの特性を見比べたらわかるように両者に大きな違いが現れた。
(a)はトロイダルに対して全て左回りとなるように接続しているのだが、1MHz付近で-0.27dBの谷があり、次に5MHz付近で-0.6dBまで下げている。そしてどんどん下げていき13MHz付近で-4.5dB。
(b)は一層目の巻き線が右回りで二層目の巻き線が左回りの接続。1.2MHz付近で-0.4dBの谷があり、少し上がった後に下げて6MHz付近で-1.7dB。さらに、7.5MHz付近で-3.3dB。
とはいえ1MHz以下では、どちらも利得はフラット、似たような特性だということが分かった。
イ)コイル特性
信号がコイルを通してどのように伝達されるかを見てみる。本当の順番なら定在波比よりもこちらが先になるのでしょうが。
(c)の回路
コイルのつなぎ方は上記(a)と同じでアナライザーのつなぎ方が異なる。RF OUT側と入力チャンネルAのライン間にコイルを挟み込み、両方のグランドを直結する。
帯域300MHzまでの様子。
5MHz以下。
さらに200kHz以下。78.555kHzで谷があり位相が反転。
5MHz以下。193.671kHzで谷がある。
こちらはコイルの結線が無誘導巻き状態なので谷の位置が(c)よりも上にシフトしたのか?
(c)(d)ともに似たような特性。なぜ200kHz以下で谷が出来ているのか謎。