電気回路をリレーベースに交換して、BEMFをコンデンサに蓄えて再利用する回路の有無を比較してみた。
1.BEMF再利用なし
まずは、BEMF利用なしの電流・電圧波形から。
画像は、電源電圧6Vをかけたときのもので、CH1はコイル電流波形で、CH2はコイルの電圧波形。
波形は36ms周期なので、回転数は約833rpm。ピーク電流は7.5A、Duty比28%で、三角形に近い波形。電圧波形は、スイッチが入る直前の10msでコブのような盛り上がりがみられ、スイッチON直後1.5msで機械式スイッチ特有のチャタリングが発生して櫛のような状態がみられる。
この波形の時間軸を変えてズームアップしたのが次の画像。
CH1の電流波形は全体として、一般的なコイルの充電電流と同じになっている。しかし、このコイルは設計時の充電時間は3.6ms程度なので、磁石の動きが加わることで立ち上がりが3倍も伸びてしまっている。このことは、見かけ上のコイルインダクタンスが3倍になったような感じ。
スイッチがOFFになった直後に逆起電力が生じている。
2.BEMF再利用あり
今度は、BEMFをコンデンサーに蓄えて、スイッチONと同時に電源に戻すことをしてみる。
次の画像がそのときのもの。
電源電圧5Vのもので、本来比較するためには6Vがいいのだが、撮り忘れたのがこうなってしまった理由。
上記と同様にCH1が電流波形、CH2が電圧波形。1.BEMF再利用なしのときに比べると、ノイズが少なく綺麗な波形。
周期は37msなので、回転数は約811rpm。ピーク電流は6.4A、Duty比は22%。
このDuty比はリードスイッチの位置が回転している磁石から遠ざかると小さくなり、近づくと大きくなるので、先の実験1.よりも少し距離があったようだ。
ただ、ひとつ言えるのは、電圧が5Vだから6Vよりも多少低く、電流も小さくなっているが、それでも回転数がそれほど低下していない。しかも、デューディー比も小さい。つまり、BEMFを再利用した分だけモーター全体で効率アップしているように思える。
次の画像は時間軸を変えたもの。ただし、こちらは電源電圧6V時のもの。
CH1の電流波形は、スイッチON直後のチャタリングがおさまったあとに4Aまで急伸している。そのあとはゆっくりとしたカーブを描きながら電流が上昇している。
またCH2の電圧は、スイッチOFF時は25Vでフラット、スイッチON直後はチャタリングがあり、その後はほとんど0V、スイッチOFF直後で逆起電力がごくわずかに出ているがすぐに収束している。そしてBEMFがコンデンサに充電された結果、電圧が25Vになっている。
スイッチON後の電流が4Aまで急上昇するのは、コンデンサの充電で25Vまで電圧が上がっていることに起因するものだと思われる。
また、コンデンサの放電は一瞬に終わり、電源電圧は6Vにもどってしまうため、電流はゆっくりとしたカーブを描くことになったと。
しかし、実際に流れている電流の量は、立ち上がりが早いために、1.のBEMF再利用なしのときと同程度なのではないかとも思う。となると、効率が目覚しく改善されるとは言えない。