パルスモーターの電流が0になっていく現象が、おぼろげながらわかってきた。まだ完全に説明できるわけではないが、現時点での頭の整理。
モーター装置を段ボール箱の中で回して実験した。ネオジウム磁石を円板にボンドで貼り付けて、その周りをホットボンドで固めただけのものだから、回転していて磁石が外れはしないかと思ったから。
そんな状況で、円板を手で回転させてから電源を入れる。直流5VからはじめてリードSWの位置を調整しつつ、少しずつ電圧を上昇させていくと回転数も上がっていく。
パワーMOS-FETのソース電流をオシロスコープで観測すると、パルスが見られる。
パワーMOS-FETのソースとグランドの間には、1Ωのセメント抵抗をつけてあるので、この抵抗両端の電圧の読みが電流値となる。
この画像は、電源電圧が8Vのときで、電流はピークで3.8A流れている。
このパルスは矩形波に近い。パルス周期は19.5ms、ON期間は5ms。
この画像は、電源電圧が10Vのときのもので、ピーク電流は5.5A、パルス周期は17msで、ON期間は4msだからDuty比にすると23.5%。だいたい1764rpmで回転している。
特徴的なのは、パルスがのこぎり歯のようになったこと。
不思議だと思いませんか?なぜ波形が変化したのか。。。
次は、電源電圧12Vで、オシロスコープの1CHはMOSFETソース電流の波形で、2CHにMOS-FETのドレイン電圧を追加した。
ピーク電流は6.6Aで、パルス周期が15ms、ON期間は3.8ms。
追加したドレイン電圧波形をよ~く見ると、面白いことが分かった。
まず、オシロ画面の左半分はOFF期間なのだが、このときコイルが電源につながったままで電流が流れない状態にあるから、12Vになるはず。しかし、ONする直前3msで電圧が少し上昇している。
この上昇は、コイル中心に磁石が近づきつつあるときで、コイルに1.5Vほど起電力が生じている。つまり、コイルは発電しているのだが、回路が切られているので、コイル内にそのエネルギーが蓄積されていて、結果としてわずかながら電圧上昇となっている。
そして、ONになると電流が流れない状態でグランドレベルの0Vに落ちる。しかし、コイルには磁界という形でエネルギーが蓄積している。しかも、電源とは逆向きのポテンシャルで存在している。
このため、電源ONによりコイルに電流が流れようとするのが阻害されてしまう。
そして、このあと、コイルの誘導性を顕著に現しながらゆっくりと電流が流れはじめだす。すなわち、電源電圧に負けてあるべき状態へとゆっくり進んでいく。
最終的には電流波形がフラットになるはずなだが、3.8msかけてもまだ完全に立ち上がり期間が終わってないように見える。
それから、この現象は、8Vのときにはほとんどみられない。つまり、回転速度が上がって初めて起こるようである。
これはテネモスモーターも同様で、回り始めは電流が多くながれるが、回転数が上昇していくにつれ徐々に電流が0になっていくというプロセスを歩む。
以上から、パルスモーターは、
ON直前に発電してコイルにエネルギーを蓄積するということが電流を非常に少なくしている要因のひとつだといえそうだ。
残念ながら、今回製作したモーターでは、電流が0に近づいていくというところまでは行かなかった。おそらく、まだまだ調整しなければならない箇所がたくさんあるのだろう。
そして、調整すべきポイントのひとつに、ON直前のコイルの充電ができるだけ大きくなるようにするということではないだろうか。
アダムス氏がどうして巻数を多くするようにアドヴァイスしていたのか。
その答えは、この
発電を大きくすることにあると言えそうだ。