Bedini Fan を作って、どういうものなのかを確認してみた。
このBedini Fanは、手持ちのPC用ケースファン(DC
ブラシレスファンモーター INNOVATIVE INDUSTORIAL CO.,LTD. MODEL BP802512M DC12V、0.16A)を改造したものだ。
これだと、面倒なコイルを巻く必要もなく、簡単にフリーエネルギーの実験ができるから。
改造方法は、ImhotepさんのYouTube動画を参考にした。
ファンを分解して、ホールセンサーやトランジスタが乗っている内部基板を取り外し、モーターコイルのリード線4本を外に引き出す、ということを行った。
回路はご覧のように簡単なので、ブレッドボード上に組んでみた。
ちなみに、この回路図には、チャージ用バッテリーがついているが、当実験には必要ないので外した。
10kΩ(Aカーブ)ボリュームがついていて、ファンの回転数をコントロールすることができるようになっている。回路の調整部分は、このボリュームが唯一のものとなる。
また、ネオンランプがついていて、バッテリーチャージしない場合は、このランプが点灯する。ボリューム調整の際にはこのランプが役にたつ。
ファンは自分で起動できないので、はじめは手で回す必要がある。
なお、電流計測には、トロイダルコイル(FT82#61)で作った自作の高周波用電流センサー(カレントトランス)を使用している。そのため、パルス状の電流は正確に検出できるが、低周波領域の電流は誤差が多くなっているものと思われる。ちなみに変換比率は1:1、つまり1Aのときに1Vが出力される。
まず、ファンを起動させてから、ボリュームを0Ωの位置にする。
左画像のように、ランプは消えた状態。
ファンは回転しているが、回転数は低い。
このときのバッテリープラス側の電圧と電流の波形をオシロスコープに表示して確認してみた。
画像の上が電圧で、50V/DIVとなっている。
ちょっと見えずらいが、12VのONとOFFが見て取れる。
波形電圧が12Vの時は、トランジスタがOFFになっていて、電圧が0Vになっている時は、トランジスタがONになっている点に注意が必要。
Tr-OFFになった瞬間上に10V程のとんがりがある。
下の帰線が電流で、100mA/DIV。
ほとんど電流は流れていないが、トランジスタのONとOFFの位置で鋭いヒゲが出ているのが見える。Tr-OFF時にプラスサイドへ200mA、Tr-ON時にマイナスサイドへ120mA。
波形は22msec周期で変化しているので、回転数は2700RPMぐらい。
次は、ファンの回転数が最大付近で測定。
ボリュームは、2kΩのあたり 。
このときも右画像のようにランプは消えている。
電圧波形に、何本かの120~150V程度のパルスがでている。Tr-OFFになるときに本数が多く、Tr-ON時は1本だけだが、電圧は多少高くなっている。
見えにくいが、下段の電流波形も120mA程度のパルスがON・OFF時に発生している。
波形が14ms周期で変化しているので、回転数は 4300RPM前後と思われる。
次は、ランプが一番明るく点灯している状態のところ。
ボリュームは5KΩ付近。
Tr-OFF時は、パルスがでてないが、Tr-ON期間中はずっとパルスが出ているように見える。しかもTr-OFFよりもTr-ON期間の方が長く見える。
これは、パルスの影響なのかトランジスタがOFFしずらくなっているのかもしれない。
電圧だけではなく、電流も同様にパルスが出ている。
それから、このたくさん出ているパルスが100Vを超えているので、ネオンランプを点灯させているのかもしれない。
ひとつ前のケース、最高速度で回転している際にはランプは点灯しなかったのだが、パルスの数が少ないためだろうか。パルス自体は100Vを超えていても、ランプを点灯させるだけの十分なエネルギーとはならなかったのかもしれない。
このときの回転数は、およそ2600RPM。
次、さらに7KΩあたりまでボリュームをまわしてみる。
ランプはかすかに点灯している。ファンの回転数はかなり低くなって、今にもとまりそう。
波形の周期は大きくなっているので、回転数が低下しているのが見て取れる。
また、トランジスタON期間のパルスは相変わらずたくさんでているが、電圧は若干落ちた感じ。それゆえにランプもかすかに点灯という状態なのかと思われる。
回転数はおよそ1760RPM。
今度は、ほんの少しボリュームを回した。するとファンの回転は止まった。
しかし、なんと驚いたことに、ネオンランプが明るく点灯している。どうやら、ファンのコイルとトランジスタとで発振してしまったようだ。 耳障りなノイズが聞こえる。
発生しているパルスの電圧は100V程度ある。
電流パルスは60mA程度。
左の画像は、時間軸を200us/DIVに変更してパルスの一本一本を見やすくしてみたところ。
133us周期でパルスがでている
周波数にすると7.5kHz程度。
つづけて、ボリュームを10kΩいっぱいまでまわした。
ランプはかすかに点灯している状態となった。
ノイズ音が高くなった。
120us周期になったので、
周波数は8.3kHz程度と思われる。
発生しているパルスの電圧、電流ともに先ほどよりも低下している。電圧は100Vを切っている。
電流は50mA程度。
今度は、この発信している状態のまま、ボリュームの抵抗値を下げて行った。すると、5KΩあたりで発信がとまり、ランプも消えた。
この位置でファンを手がけすると、ファンは回転しだした。
以上のような結果から、ボリュームにはファンをまわせる領域があり、回転数の条件によって、ランプの明るさが変化することがわかった。
さらに、上記の実験とは別に、バッテリーのチャージ実験も行った。
このとき、ファンが回っていても、ランプが点灯していない状態だとほとんどチャージができないということがわかった。
逆に、ファンが回転しており、ランプが明るく点灯しているポイントだとチャージできた。
それと、このBedini Fanの大きな問題をひとつ見つけてしまった。それは、チャージは出来てもファン回転に要する電力消費の方が大きくて、オーバーユニティにならなかった。つまり、「入力<出力」の関係は成立できなかった。
単純に無改造のケースファンをブンブン回転させる場合と比較すれば、相当に高効率なファンになるとは思う。でも、オーバーユニティにならないと意味がない。
詳細なデータを取り直す必要があるとは思うが、ケースファンに使われているコイルの大きさだとかバッテリーの種類や充電状態といったような、何かしらの原因や条件があるような気がする。
これについては、もう少し時間をかけて確認してみたい。